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甦(よみがえ)らせる―復旧期

 大きな災害や事故は、人びとの心に「無力感」と「興奮」という矛盾する情動を押しつけます。自らの無力感を認めまいとする精神のこわばりが「災害時興奮」となります。それは、一見、気丈な振る舞いとして表れますが、じつは相当な無理をしています。

外から震災を眺める人は、ああガンバッてるな、と受け取って「復旧より復興だ。すばらしいまちを創造しよう」などと口走ります。ちょっと待っていただきたい。被災した人は、興奮の次には無力感による底なしのウツにのみ込まれそうになります。鼓舞するのは逆効果です。ただ寄り添って、黙って支えてほしい時期もあるのです。

震災体験者の多くは、まずは地道に生活を立て直したいと考えます。これが生活の復旧と位置づけられます。避難所から仮設住宅に移り、不自由だけれど一息つきます。生活を徐々にとり戻し、気もちを甦らせる。ここで重要なのが、「鎮魂」です。亡くなった方の魂をなぐさめ、鎮めることです。社会が再生へと向かう大切なステップです。

生活をとり戻すこと、気もちを甦らせることを復旧ととらえるならば、さまざまなサポートが必要でしょう。仮設住宅、あるいは災害復興住宅と呼ばれる建物や、被災コミュニティーのつくり方にも、まだ気づいていない大切なポイントがあるはずです。